新人PT・OT・ST(1〜3年目)の転職タイミング判断ガイド|動くべき時期と待つべき理由

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新人PT・OT・ST(1〜3年目)の転職タイミング判断ガイド|動くべき時期と待つべき理由

「入職して1年も経っていないのに、もう辞めたい」

そう感じているリハビリ職の方からの相談は、想像以上に多いです。現場のギャップ、先輩との関係、想定外の業務量——最初の職場で直面する困難は人によって様々です。

ただ、「辞めたい」という気持ちと「今転職すべき」という判断は別の話で、1〜3年目の転職が有利に働くケースと、もう少し待った方がよいケースに明確に分けられます。この記事では、その判断基準を率直にお伝えします。


この記事の信頼性について

監修: 監修医師(放射線治療科)
大学病院勤務。研修医時代からPT・OT・STとの多職種連携・リハビリ処方を経験。将来のクリニック開業準備中。本記事は個人見解に基づくものです。


1〜3年目の転職は「珍しくない」が「影響ゼロ」でもない

まず前提として、リハ職の早期転職は珍しくなくなっています。日本理学療法士協会の2023年度の会員調査によると、PT の転職経験者の中で「3年以内の転職」は全体の2割以上を占めています。

それでも採用側から見ると、1〜3年目の転職歴は「なぜその時期に転職したか」という説明を必ず求められます。理由が明確で、次のステップへの意志があれば不利になることは少ないですが、「なんとなく職場が合わなかった」という印象を与えると、採用確率は下がります。

つまり、「早期転職が悪い」のではなく、「転職の理由と方向性を説明できるか」が問われます。


「今動いていい」と判断できる5つのケース

ケース1:職場の構造的な問題が明らかになった

「上司が変わればよくなる」「自分が慣れれば解決する」という話ではなく、施設全体の体制や文化に問題がある場合は、早期に動くことが合理的です。

具体的には次のようなサインです。

  • サービス残業が常態化しており、改善の見通しがない
  • 新人教育が機能しておらず、放置状態が続いている
  • 倫理的に問題のある介入・記録の改ざんが横行している
  • ハラスメントが組織として黙認されている

これらは「個人の慣れ」で解決できる問題ではありません。消耗し続けるよりも転職を選ぶ方が、キャリアへのダメージが少ないケースが多いです。

ケース2:業務内容が求人票の記載と大きく異なる

「急性期リハビリを学べる」という求人だったのに、実際は書類作業やリネン交換が業務の中心——こういった求人票との乖離は、採用側の問題です。この場合の転職は「正当な理由のある転職」として面接でも説明しやすいです。

ケース3:専門性を積む環境が整っていない

1〜3年目はスキルの基盤を作る最も大切な時期です。OJTが機能していない、スーパービジョンを受けられない、症例数が極端に少ない——こういった状況が続くと、3年目・5年目のキャリアに大きな差がつく可能性があります。

「今のままでは成長できない」という判断は、早期転職の正当な理由になります。

ケース4:メンタルヘルスに明らかな影響が出ている

眠れない、食べられない、出勤前に身体的な症状が出る——これらは「転職を急ぐサイン」だけでなく「医療機関を受診するサイン」でもあります。

健康を守ることを最優先に考えてください。その前提で、転職という選択肢を真剣に検討してよいケースです。

ケース5:ライフイベントによる物理的な制約

転居・結婚・家族の介護など、外的なライフイベントによって現職の継続が難しくなった場合は、転職年次を問わず合理的な理由です。


「もう少し待った方がいい」と考えられる3つのケース

ケース1:入職後1年未満、かつ職場環境は正常な範囲

1年未満での転職は、採用側に「定着懸念」という印象を持たれやすい傾向があります。職場環境や業務内容に構造的な問題がなく、「なんとなくイメージと違う」「もっと良い職場があるかもしれない」という理由なら、もう少し続けて判断する方が賢明です。

最初の1年は「仕事を覚える時間」だけでなく、「自分の適性と仕事の相性を確認する時間」でもあります。

ケース2:転職後にやりたいことが具体化されていない

「今の職場が嫌」という動機だけで転職すると、次の職場でも同じ不満が生じやすいです。「次の職場で何をしたいか」「どのスキルを積みたいか」が言語化できていない段階での転職は、再び転職を繰り返すリスクがあります。

「何から逃げるか」ではなく「何に向かうか」を先に考えてください。

ケース3:2年目の特定時期(4月〜9月)

2年目の前半は、職場での役割が変わり始める時期です。後輩が入職し、自分が「先輩として」見られるようになります。この時期に転職活動を始めると、職場でも転職活動でも中途半端になりやすい傾向があります。

2年目に転職を考えるなら、「2年目の後半(10月以降)」または「3年目を区切りにする」という形でタイミングを設定する方が、準備期間としても活動しやすいです。


1〜3年目の転職市場における立ち位置

経験年数採用側の評価傾向ポイント
1年未満「なぜそんなに早く?」と確認される構造的問題がある場合は説明しやすい
1〜2年「理由次第」で評価が分かれる明確な理由と次の方向性が必要
2〜3年基礎的な経験ありとして評価される応募先の幅が広がる
3年超ある程度の戦力として期待される年収交渉の余地が出てくる

1〜2年目での転職は不可能ではありませんが、採用側が「この人は次の職場でも定着するか」を見ている点を意識することが大切です。


転職活動を始める前にやること3つ

1. 「転職しない場合」の1年後・3年後を想像する

今のまま続けた場合、1年後・3年後の自分はどうなっているかを具体的に想像してください。「なんとなく続けて、なんとなく同じ状況」という見通しなら、転職を考える理由になります。反対に、「今の環境でスキルを積める」と感じるなら、もう少し続けることに意味があります。

2. 転職エージェントへの「情報収集目的」の相談

「転職しようと決めた」という段階でなくても、転職エージェントへの相談はできます。「まず情報を集めたい」という相談で問題ありません。1〜3年目で転職した場合の市場価値、求人の幅、転職活動のスケジュール感を把握するだけで、判断の精度が上がります。

多くのサービスは無料で相談でき、「登録したら必ず転職しなければならない」ということはありません。

3. 現職の退職ルールを確認する

いざ転職を決めたとき、退職の意向をいつまでに伝えなければならないか、有給休暇の残日数はどうなっているか——これを確認しておかないと、転職活動のスケジューリングが難しくなります。就業規則を事前に確認しておくことを強くすすめます。


「転職を急かす担当者」への注意

転職エージェントを利用する場合、「今すぐ転職すべき」という方向に誘導する担当者がいることがあります。エージェントは転職が成立することで収益になる仕組みのため、利益相反が起きやすい構造があります。

「今は情報収集の段階です」と明確に伝え、転職の意思決定は自分のペースで行うことが重要です。担当者の提案を聞きつつ、「自分はなぜ転職するのか・何を求めているのか」の軸を持ち続けてください。


PT・OT・ST 職種別の注意点

PT(理学療法士)

PT は急性期・回復期・維持期という経験の積み方が、その後のキャリアの選択肢に影響します。1〜2年目で転職する場合、「急性期か回復期での一定の経験」を積んでから転職した方が、次の職場での評価が高くなりやすい傾向があります。

ただし、スポーツ整形・訪問リハビリなど特定の分野を早期から目指す場合は、その分野のポジションを早めに押さえる方が有利なこともあります。

OT(作業療法士)

OT の場合、身体・精神・老年・小児という専門領域の選択が、2〜3年目のうちに方向性として出てきます。「今の職場では目指す領域の経験が積めない」という判断は、転職の明確な理由になります。

ST(言語聴覚士)

ST は嚥下と言語という2つの専門分野で、職場によって扱える症例に大きな差があります。「嚥下を深めたいのに失語症しかできない」「VFやVEに触れる機会がない」という場合は、早期の職場変更が専門性の形成に有利に働く可能性があります。


まとめ

  • 1〜3年目の転職は「珍しくない」が、転職理由と次の方向性を説明できることが必要
  • 職場の構造的問題・教育環境の欠如・心身への影響が出ている場合は早期転職を検討してよい
  • 「なんとなく嫌」「もっと良い職場がありそう」という理由のみの転職は、再転職リスクが高い
  • 転職エージェントへの相談は「情報収集」として早めに行うことは有効
  • 転職の判断は担当者に急かされず、自分のペースで行う

新人・若手リハ職の転職先選びについては、以下の記事も参考にしてください。


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監修医師プロフィール

監修医師(放射線治療科)。大学病院勤務。研修医時代からPT・OT・STとの多職種連携・リハビリ処方を経験。将来のクリニック開業準備中。リハキャリアガイドの運営・監修を担当。

本記事は2026年6月時点の情報をもとに作成しています。転職市場の状況・各サービスの詳細は変動する場合があります。転職に関する個別の相談は、各転職サービスの担当者またはキャリアカウンセラーにご相談ください。