リハ職の退職理由の伝え方|担当患者の引き継ぎと面接での答え方

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リハ職の退職理由の伝え方|引き継ぎと面接での答え方

リハ職の退職には、他職種と少し違う難しさがあります。

担当している患者・利用者を、途中で手放すことです。

回復期であれば数か月、訪問や生活期であれば年単位で関わってきた方がいます。「あと少しで歩けそうなのに」「この人の担当を替わるのは申し訳ない」——この気持ちが、退職の意思表示を遅らせます。

そしてリハ科は少人数の職場が多く、一人抜けることの影響が大きい構造でもあります。

この記事では、その前提を踏まえたうえで、職場への伝え方と面接での答え方を分けて整理します。

監修: 現役医師(放射線治療科・大学病院勤務)
リハ処方を出す立場からリハビリテーション部門と協働し、スタッフの異動・退職の実際を見てきた視点で解説しています。


大前提:理由を詳しく説明する義務はない

まずここから確認します。

退職理由を正直に全部話すことは、法的にも社会的にも義務ではありません。民法上、期間の定めのない雇用契約は労働者からの申し入れで終了できます(就業規則で1〜2か月前の申告を定めている職場が多いため、実務上はそれに合わせるのが円満です)。

伝えるべきは「辞める意思が固いこと」であって、「なぜ辞めるかの詳細」ではありません。


「患者さんに申し訳ない」という気持ちをどう扱うか

ここを先に整理しておきます。多くのリハ職がここで止まるからです。

担当が替わることは、悪いことばかりではない

医師の立場から正直に言います。担当が替わることで、良い方向に進むケースは実際にあります。

  • 別の視点で評価され、新しいアプローチが見つかる
  • マンネリ化していたプログラムが見直される
  • 患者と担当者の相性の問題が解消される

リハビリテーションは、特定の一人でなければ成立しないものではありません。 チームで提供するものです。

引き継ぎの質を上げることが、最大の誠意

途中で担当を替わる後ろめたさは、丁寧な引き継ぎで返すことができます

  • 評価の経過と、そこから読み取った内容
  • 試して効果があった方法・なかった方法
  • 患者の性格、モチベーションの上がる声かけ
  • 家族の状況と、家族への説明内容
  • 到達目標と、そこまでの想定期間

「この人はこういう人だ」という定性的な情報こそ、記録に残っていないものです。 ここを伝えるのが、いちばん価値があります。

辞めないことは誠意ではない

厳しい言い方になりますが、自分が消耗しきった状態で担当を続けることが、患者のためになるとは限りません

評価の精度も、提案の質も、余裕のない状態では落ちます。それは結局、患者に返ってきます。


パート1:職場への伝え方

目的は「予定どおり退職日を迎えること」

理解してもらうことではありません。ここを取り違えると、話し合いが長引きます。

条件理由
職場が解決できない理由解決できる理由だと引き止めの余地が生まれる
前向きまたは私的な理由職場批判は角が立つ。リハ業界は地域内で狭い
具体的すぎない詳細ほど交渉材料になる

使いやすい理由の型

① 分野を変えたい

「以前から生活期のリハビリに関心があり、訪問の分野で経験を積みたいと考えるようになりました」

今の職場が提供できない分野なら、引き止めの手段がありません。もっとも角が立たない型です。

リハ職は領域が明確に分かれているため、この理由が自然に使えます。

② 家庭の事情

「家庭の事情があり、勤務の形を変える必要が出てきました」

私的な領域には職場が介入しにくく、深追いされにくい理由です。

③ 通勤・転居

「転居の予定があり、通勤が現実的でなくなりました」

法人が複数施設を持つ場合、異動の提案が出る可能性があります。それでも辞めたい場合は、他の理由と組み合わせておく必要があります。

避けたほうがいい伝え方

  • 単位数ノルマへの不満を前面に出す:「調整する」と言われて話が長引きます
  • 特定の人物名を挙げる:配置転換の提案につながります
  • 給与への不満だけを挙げる:昇給提案が出ると断りにくくなります
  • 「まだ迷っている」と取れる言い方:「退職いたします」と言い切る

リハ職特有の引き止めパターン

引き止めの言葉対応の考え方
「担当患者さんはどうするの」「引き継ぎは責任を持って行います」と、引き継ぎの話に移す
「人が足りなくなる」「ご迷惑をおかけします」と受け止めつつ、日付は動かさない
「実習指導者はどうする」実習時期を避けられるなら配慮する。ただし退職自体は動かさない
「単位数を減らすから」条件変更で解決する問題かを冷静に考える。違うなら「それだけではないので」
「異動なら考えられる」「ありがたいお話ですが、職場の問題ではないので」

議論に乗らないことが最大のコツです。「感謝 → 意思は固い → 引き継ぎは丁寧に」の3点を繰り返すだけで通ります。

タイミングの配慮

可能であれば、次の時期は避けると円満です。

  • 臨床実習の受け入れ期間(指導者を担当している場合)
  • 年度替わりの直前(4月入職者の受け入れ準備期間)

ただし、これは配慮であって義務ではありません。体調や次の職場の都合が優先です。

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パート2:転職面接での答え方

面接官が見ている3点

  1. 同じ理由でうちも辞めないか
  2. 他責的な考え方をしないか
  3. 志望動機と一貫しているか

「うちでは繰り返さない」と納得させられれば十分です。

型:事実は短く、未来の話に着地させる

① 事実を1文で(感情・批判を入れない)

② それを通じて何を考えたか

③ だから次はこうしたい(=志望動機)

理由別の言い換え例文

単位数・業務量が理由の場合

❌ 「1日24単位のノルマがきつくて、記録も毎日残業でした」

⭕ 「1日の介入件数が多く、評価や再評価に十分な時間を割くことが難しい状況でした。一人ひとりの状態を丁寧に見て、プログラムを組み立て直す働き方をしたいと考えるようになりました」

「きつい」ではなく「質を上げたい」に変換します。これは採用側にも響く言い方です。

人間関係が理由の場合

❌ 「リハ科長と方針が合いませんでした」

⭕ 「リハ職同士で症例について検討する機会が限られていました。多職種も含めて意見を出し合いながら方針を決められる環境で働きたいと考えております」

人間関係は「検討の機会」「体制」という言葉に置き換えます。

給与が理由の場合

⭕ 「経験を重ねる中で、担う役割に応じた評価がある環境で働きたいと考えるようになりました。認定資格の取得支援があると伺い、長く成長できる環境だと感じています」

給与を直接の理由にすると「条件次第でまた辞める」と受け取られます。評価制度やキャリアパスの話に変換します。

分野を変える場合(もっとも扱いやすい)

⭕ 「急性期で〇年経験を積む中で、退院後の生活場面での支援に関心を持つようになりました。訪問リハビリで、これまでの経験を活かしたいと考えております」

これはそのまま話せます。リハ職はこの理由が使いやすいのが強みです。

短期間で辞めた場合

⭕ 「入職前に伺っていた業務内容と実際に相違がありました。確認が不十分だった点は私の反省点です。今回は事前に見学をお願いし、1日の流れや単位数についても確認したうえで応募しております」

自分の反省点を1つ入れると、他責の印象が下がります。


やってはいけない答え方

  • 前職の批判を具体的に語る
  • 嘘をつく(職務経歴書との矛盾で判明します)
  • 話が長い(退職理由は1分以内が目安)
  • 感情的になる(つらかった経験ほど淡々と話すほうが伝わります)

嘘はつかない。ただし全部は言わない。 この線引きが正解です。

面接全般の対策はリハ職の転職面接対策にまとめています。


エージェントには本音を伝える

面接官とは立場が違います。エージェントには正直に伝えてください。

「単位数が21以上の職場は避けたい」「実習指導は担当したくない」「訪問の件数は1日5件まで」——こうした具体的な条件ほど、伝える価値があります。

本音を共有しないと、同じ問題を抱えた職場を紹介されます

単位数の確認ポイントはリハ職の「単位数ノルマ」問題で整理しています。

転職サービスをまだ決めていない方へ

リハ職は職種によって強いサービスが違います。理学療法士(PT)作業療法士(OT)言語聴覚士(ST)、それぞれのランキングで医師目線の比較基準を整理しています。


まとめ

  1. 退職理由を詳しく説明する義務はない
  2. 「患者さんに申し訳ない」は、引き継ぎの質で返す
  3. 担当が替わることで良い方向に進むケースも実際にある
  4. 職場には分野を変えたい・家庭の事情など、解決できない理由を
  5. 引き止めには議論せず、「感謝 → 意思は固い → 引き継ぎは丁寧に」を繰り返す
  6. 実習指導の時期は配慮する価値があるが、義務ではない
  7. 面接では事実を1文で置き、未来の話に着地させる
  8. 単位数の不満は「きつい」ではなく「質を上げたい」に変換
  9. 分野を変える理由はそのまま話せる。リハ職の強み
  10. エージェントには本音を、面接官には整えた形を

引き継ぎさえ丁寧に行えば、あなたが抜けても患者のリハビリは続きます。

罪悪感を、動けない理由にしないでください。


本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。退職手続きの詳細は各職場の就業規則によって異なります。労働条件に関するトラブルがある場合は、労働基準監督署や専門機関にご相談ください。

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