リハ職の「単位数ノルマ」問題|転職前に必ず確認すべき算定の実態

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リハ職の「単位数ノルマ」問題|転職前に必ず確認すべき算定の実態

リハ職の転職相談で、給与や休日と同じくらい——場合によってはそれ以上に重要なのが単位数です。

にもかかわらず、求人票にはほとんど書かれていません。そして入職してから「こんなに詰まっているとは思わなかった」と気づくケースが後を絶ちません。

この記事では、単位数という数字が実際に何を意味するのか、ノルマが高い職場で何が起きるのか、そして面接で何を聞けばいいのかを整理します。

監修: 現役医師(放射線治療科・大学病院勤務)
リハ処方を出す立場から、リハビリテーション部門の実際を踏まえて解説しています。


まず「単位」の基本を確認する

疾患別リハビリテーション料は、「単位」という区切りで算定されます。

1単位 = 20分

これが出発点です。そして、従事者1人あたりが算定できる単位数には上限が定められています。

区分上限
1日あたり(標準)18単位
1日あたり(例外的に認められる上限)24単位
1週間あたり108単位

つまり、1日18単位 = 20分 × 18 = 360分 = 6時間の直接介入を意味します。

⚠️ 算定に関する要件は診療報酬改定により変更される場合があります。最新の要件は厚生労働省の告示・通知でご確認ください。


数字が示す「1日の中身」

ここからが本題です。18単位という数字を、1日の勤務時間に当てはめてみてください。

8時間勤務(休憩1時間)の場合

項目時間
拘束時間8時間
休憩1時間
実働7時間
18単位の直接介入6時間
残り1時間

この「残り1時間」に、次の全部を入れることになります。

  • カルテ・実施記録の入力
  • リハビリテーション実施計画書の作成・更新
  • カンファレンス(病棟・多職種)
  • 患者の送迎(車椅子での移動介助)
  • 準備・片付け・物品管理
  • 医師・看護師への報告、情報収集
  • 家族への説明
  • 新人指導
  • 委員会活動

1時間で収まるでしょうか。

答えは、多くの場合「収まらない」です。だから記録が時間外に押し出されます。

21単位・24単位ならどうなるか

単位数直接介入の時間実働7時間との差
16単位5時間20分1時間40分
18単位6時間1時間
21単位7時間0分
24単位8時間マイナス1時間

21単位以上は、計算上そもそも記録の時間がありません。

24単位に至っては、休憩を削るか、時間外に持ち越すか、送迎時間を単位に含めるか——いずれかが起きています。

「うちは24単位が普通です」と言われたら、その裏で何が起きているかを必ず確認してください。


ノルマが高い職場で実際に起きること

医師として複数の施設を見てきた経験から、率直に書きます。

1. 記録が時間外になる

もっとも典型的なパターンです。定時後に1〜2時間、記録のために残る。これが常態化します。

しかもサービス残業になっているケースがあります。 「単位はつけられないから」という理屈で。

2. 休憩が取れない

昼休みに記録を書く、あるいは午前の最後の患者が押して休憩が短くなる。労働基準法上の問題ですが、慢性化している職場は実際にあります。

3. 質より量になる

これがもっとも本質的な問題です。

1人あたりの介入時間が固定されている中で件数を詰めると、評価や再評価に使える時間が削られます。「とりあえず前回と同じメニュー」になりやすくなります。

医師の立場から言えば、こうなると処方する側としても困ります。リハ職に期待しているのは「実施」ではなく「評価と提案」だからです。

4. 離職につながる

単位数ノルマの高さは、リハ職の離職理由として非常に多いものです。特に回復期病棟では顕著です。

回復期からの出口については理学療法士が回復期病棟を辞めたいと感じる5つの理由で整理しています。

5. インセンティブ制の落とし穴

「単位を取ればその分給与に反映」という制度は、一見魅力的です。

しかし、基本給が低く設定されていて、単位で稼がないと生活できないという設計になっていることがあります。この場合、体調を崩したり、患者が減ったりすると収入が直撃します。

求人票の年収例が「◯単位を取得した場合」という前提で書かれていないか、必ず確認してください。


職場タイプ別の傾向

あくまで傾向であり、施設によって差が大きい点は前提としてください。

職場単位数の傾向背景
回復期リハ病棟高くなりやすい施設基準上、提供実績が求められる
急性期病院中程度患者の状態が不安定で長時間の介入が難しい
クリニック(整形外科)施設による差が大きい外来の回転数次第
訪問リハ単位ではなく件数で管理移動時間が別途かかる
通所(デイケア・デイサービス)個別介入は限定的集団プログラムが中心
介護施設(老健・特養)比較的緩やか生活期のリハビリが中心
自費リハ単位という概念がない完全に別の仕組み

「単位数から解放されたい」という理由で介護分野や訪問に移るリハ職は実際に多くいます。

訪問リハについては訪問リハビリに転職した理学療法士の年収実態、介護施設については介護施設のOT・PT転職をご覧ください。


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面接・見学で必ず聞くべき質問

求人票には書かれていないので、自分から聞くしかありません

聞きにくいと感じるかもしれませんが、これは待遇に関する正当な確認です。曖昧にされる職場ほど、入職後のギャップが大きくなります。

質問リスト

  1. 「1日の平均単位数はどのくらいですか」

    • 「目標」ではなく「実績の平均」を聞くのがコツです
  2. 「単位数の目標は設定されていますか。達成できない場合はどうなりますか」

    • 評価に響くのか、指導が入るのかを確認
  3. 「記録やカンファレンスの時間は、勤務時間内に確保されていますか」

    • これが最重要質問です
  4. 「実際の残業時間は月平均どのくらいですか」

    • 単位数と突き合わせると、整合しているかが分かります
  5. 「送迎や準備の時間は、単位に含めていますか」

    • 含めている場合、実質的な負担はさらに増えます
  6. 「休憩は実際に取れていますか」

  7. 「単位数は給与に連動しますか。その場合、基本給はいくらですか」

    • インセンティブ制の場合、基本給の水準を必ず確認
  8. 「新人が独り立ちするまで、単位数はどう設定されますか」

    • 段階的に上げてくれる職場かどうか

答え方で分かること

良い兆候

  • 具体的な数字ですぐ答えられる
  • 「記録の時間は勤務時間内に確保しています」と明言する
  • 新人の段階的な設定について説明がある

注意したい兆候

  • 「人によります」で濁される
  • 「みんな頑張ってくれています」といった精神論
  • 「残業はほぼありません」と言うが、単位数が21以上
  • 質問を嫌がる

最後の点が重要です。 単位数は労働条件そのものなので、聞かれて不機嫌になる職場は、それ自体が判断材料になります。


見学時に自分の目で見ること

質問への答えと、実際の様子を突き合わせてください。

  • 定時の時点で、何人残っているか
  • ナースステーションやリハ室でのスタッフの表情
  • 昼休みに記録を書いている人がいないか
  • リハ室の混雑度(同時に何人が介入しているか)
  • カンファレンスが勤務時間内に設定されているか

見学は、できれば夕方の時間帯を希望してください。 忙しい時間の様子が見えます。


単位数だけで判断しない

ここまで単位数の話をしてきましたが、低ければ良いという単純な話でもありません

単位数が少ない職場では、

  • 経験できる症例数が少ない
  • 収益性が低く、給与や設備投資に反映されにくい
  • 施設の経営状況によっては将来に不安がある

といった側面もあります。

大事なのは数字の大小ではなく、「その単位数を、無理なく回せる体制になっているか」です。

18単位でも記録の時間が確保されていれば健全ですし、16単位でも人員が足りずに疲弊している職場はあります。

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まとめ

  1. 1単位 = 20分。1日18単位は6時間の直接介入を意味する
  2. 8時間勤務(実働7時間)で18単位なら、記録等に使える時間は1時間
  3. 21単位以上は、計算上そもそも記録の時間がない
  4. ノルマが高い職場では、記録の時間外化・休憩が取れない・質より量が起きやすい
  5. インセンティブ制は、基本給の水準を必ず確認する
  6. 傾向として回復期は高く、介護施設・訪問は緩やか
  7. 面接で聞くべき最重要質問は「記録やカンファの時間は勤務時間内に確保されていますか
  8. 質問を嫌がる職場は、それ自体が判断材料
  9. 見学は夕方の時間帯を希望する
  10. 数字の大小ではなく「無理なく回せる体制か」で判断する

単位数は、リハ職の労働環境をもっとも正確に表す指標です。そして求人票には書かれていないからこそ、自分で確認する価値があります。

年収の上げ方全般はリハ職の年収を上げる5つの方法もあわせてご覧ください。


本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。診療報酬上の算定要件は改定により変更される場合がありますので、最新の要件は厚生労働省の告示・通知をご確認ください。勤務条件・体制は施設によって大きく異なります。応募前に必ず求人票および施設への確認を行ってください。

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